相談室を開設して、一番意外だったことは、
膣で射精できないという相談がとても多かったことです。
これは遅漏でもなく射精しないので無漏症といってもいいかもしれません。
ただ自慰では射精できるのが特徴です。
性交時に膣で感じない男性の不感症のようなものなのです。

私はそれに「男性膣不感症」という症状名をつけました。
医学用語の膣内射精障害を言い換えたものです。
このような症状が生まれた背景にはバーチャルなポルノ映像の氾濫があります。

この男性膣不感症で悩んでいる男性は、潜在的にかなり多いのではないかと思います。
時代はインターネットの出現でさらにバーチャル(仮想現実)な傾向が強まり、さらに増加していくのは間違いありません。
そこで私なりにその原因と対策さらにその改善策について考えてみました。

原因と背景

ほとんどの場合、原因は長いAVによるオナニー歴のため、
女性の膣での性交が気持ちいいと感じないのが男性膣不感症の本態だと考えます。

つまりAV→手→射精という強固な性感回路が脳に作られて、
悲しいかな本来の性交ではほとんど感じないのです。

私がなぜこのように考えたかというと、
少なくとも30年前には男性膣不感症で悩む男性はほとんどいなかったと思うからです。
この30年間にAVビデオやDVDが普及しオナニーはそれらを見ながらするのが当たり前になってきました。
インターネットにはさらに過激なポルノ映像が氾濫しています。
それまではオナニーといえば、
ビニ本(今は懐かしいビニールで中が見えないHな写真集)とかアイドル写真集などが主流でした。
写真集もないもっと前には官能小説でオナニーという世界もあったのです。
これは活字を読みながら頭の中に自分で映像を作ってするわけですから、すごいことなのです。
このように、頭の中でイメージを膨らませながらオナニーをすることは性的にはとても健全なことです。
私はその方が感性を磨くのにもいいのではと思っています。
外部からの映像が強くなるほど、脳内イメージが枯れていき性的な感性は鈍るからです。
自分のペニスを膣に入れるという震えるような憧れに餓え続けた童貞の時期を長く過ごしていれば、脳内イメージは性的にあふれるばかりに豊かに育ち、初めての性交による至福の時が全ての男にあったことでしょう。また、その後の性交の快感も邪魔されることもなかったでしょう。もしかしたら早漏の人は逆にそのイメージが強すぎるのではないかと思います。(早漏の人には感性の鋭い方が多いのかもしれませんね)

AV画像はモザイクはあっても映像的には強烈で(裏ビデオならさらに強い)、そのままバーチャルにセックスするのに近いものがあるでしょう。インターネットで実写映像を入手することは今や難しいことではなく、ポルノの氾濫にはいっそう拍車がかかっています。

今後はネットとデジタル映像の融合によって、さらにその効果が強まってオナニーライフに蔓延していくでしょう。ハイビジョンで観る本番映像は、この先ポルノの頂点を極めると思います。

しかし、それらは所詮は架空の映像です。それで1万回オナニーをした所で、1回の性交の記憶には本来かなう筈はないのです。好きな相手との性交の喜びには到底およばないことです。
性交に至るまでのAVオナニー状態が長すぎてしまうと、膣のイメージはほとんど脳内にできあがりません。これが問題なのです。先に記した射精回路が眼と手と脳にできあがり、膣の快感が消失した状態が作られてしまうのです。

ここでさらに弊害なのがAVでは膣内射精の映像が希で膣外射精が氾濫していることです。AVは観る側を意識した作りになりますので、そういう現実とはかけ離れた演出が多くなるのは仕方ありません。その影響か実際にも顔に射精したがる人も増えているようですが、(アンビリーバブルです)顔にかける方もかけられる方も本来の快感とはほど遠いでしょう。顔射なんて女性は、みんな嫌だと思います。でも人は幻想を発明する生き物なのです。

このようにして最終目的地の快楽の泉であるはずの膣という存在は性感イメージからすっかり欠け落ちてしまい、実際に性交したら、膣は気持ちのいいものでは無かったということが起きたのです。それが男性膣不感症です。

良くない自慰方法のまとめ

1)射精時に足をピ~ンと伸ばす癖→実際の性交では体位的に難しいので、足ピン癖は止めましょう。2)包茎の皮をかぶせたまま上下に強く早く擦る→性交と感覚が違い過ぎるのでこれも止め、包茎はキチンと剥いた状態で射精すること。3)うつぶせになって床などに擦って射精→実際の性交はこのようにフワフワしたものではないので、キチンとペニスを圧迫して射精するようにすること。さらに萎えさせて射精していたらED・勃起不全の特訓をしているようなもの。これを続けていたら男性膣不感症プラスEDという最悪の二重苦が待っています。4)いつもAVで自慰→官能小説でも読みながらしましょう。

対策と治療

対策と治療を一言でいえば、自慰による射精を一切行わないことが王道ですがこれは結構難しいでしょう。また上記の良くない自慰方法をしている時は止めること。女性はこの男性膣不感症の本態がよくわからず、性交で射精しなかった相手に自分の手や口での射精をさせてしまうこともあるようですが、これではさらに膣の性感イメージが無くまってしまうので、それは止めましょう。(でも実際には難しいでしょう、介助する気持ちはわかります)

とにかく夢精の一歩手前くらいに性欲をためれば、男性膣不感症は克服できると思います。特に一度も膣でイったことがない人は、イメージトレーニングも欠かせません。自分の頭の中で膣にいれた自分のペニスの性感を強く意識して、いままで欠落していたイメージを新しく作らねばなりません。自分のペニスをあたたかく柔らかくつつんでくれる、愛しくいやらしい「膣」という脳内イメージです。

自慰方法の工夫

自慰を一切絶つのはなかなかできないでしょうから、自慰方法を工夫してみましょう。ポイントは刺激がゆっくりと弱い方法で射精できるようになることです。つまり手で早く上下に擦るだけの方法は止めること。包茎のある場合も亀頭が出たままの状態で、手で上から包み揉むような刺激に変えましょう。自慰中は包皮を一切かぶせないで亀頭に直接あたるように刺激してみてください。この場合、亀頭にローションを塗った方がいいと思います。最初は早い動きによる刺激から始めて、しだいにゆっくりした刺激に変えてください。これで射精できるようになったら大きな前進です。男性膣不感症からの離脱はあと一歩だと思います。

脳内イメージの強化

脳内イメージの訓練のために、画像や映像や音などを一切無しでオナニーをすることもいいと思います。ただ、AVの映像を頭の中で再現するのではあまり意味がありません。まあ活字くらいはいいでしょう。H小説でオナニーできるようになったらかなりの進歩です。

さらに、ただオンナというのではなく自分の好きな女性の膣の中で射精するというイメージで行うことが大切です。男だって、性交するにしても本当は誰の女性器でもいいはずはありません。風俗や売春で射精することなどよりできることなら好きな女性と性交する方が比べようもなく嬉しく幸せなものです。好きな相手が自分によって気持ちよくなっているのがジンジン脳芯に伝わってくるからです。自慰や風俗では自分だけが気持ちよくなって終わりですから、ここが決定的な違いで性交の醍醐味であり歓びなのです。

おそらく、最初はAV無しでは射精できなかったり、途中でなえたりするかもしれません。それはあなたの脳内イメージが貧弱だということの証明のようなものです。脳内イメージを強化するように頑張ってみてください。どうですか、あなたはできそうですか?

男性膣不感症の治療薬等について

よく質問を受けますが男性膣不感症の治療薬はなく、これを専門に治療している施設もありません。当院でも治療までは行っていません。現在の所、上記で述べた自己治療方法しかないので、自分に打ち克つくらいの気力で頑張るしかないのが現状です。あきらめず頑張ってください。

男性膣不感症にED・勃起不全を伴う場合

性交中に勃起が持続しなくなり「中折れ」するような場合はバイアグラ等のED治療薬を使ってください。勃起不全を伴うと膣内射精はまったく不可能になります。射精へのプレッシャーが高くなり過ぎて萎えるような場合はED治療薬と精神安定剤との併用をお勧めします。自慰でなえさせて射精する癖をつけてしまったようなケースは、バイアグラ等で勃起させて射精する訓練をするしかありません。

女性からみた男性膣不感症

彼やパートナーが長い間、男性膣不感症の場合、大抵は以上に述べた原因と対策でのぞむしかありません。中には自分の膣が気持ちよくないのかと落ち込む女性もいますが、原因はあなたには無いのです。

他に、たまたま男性膣不感症になるという場合もあるでしょう。これは膣で射精しなかった焦りからくるプレッシャーでさらにそうなっていることもありますが、一時的になことが多いのであまり気にする必要はないと思います。

また普段の射精には、それほど執着がない男性もいます。その場合も性交は十分に楽しんでおり、彼はたまっていなければ射精しないくてもあなたと性交ができればいいのです。むしろ相手の女性が達することに執着する傾向があるかもしれません。これは決して男性膣不感症ではなく、たまっていればちゃんと射精するので問題ありません。性交による膣の快感をそれなりに余裕を持って楽しんでいるのです。ですからこの場合は膣不感症ではありませんので射精しないことにまったく気をつかう必要もないでしょう。

彼(夫)が男性膣不感症と知った時、なんとか治してあげたい、自分でできることはないかと必死に考える女性の方も多いのですが、長い場合10年以上治らないこともあり焦りは禁物です。プレッシャーを与えると男性膣不感症はさらに悪化してEDになることもあります。辛いとは思いますがなるべく気にしない態度を続けていましょう。気長に接していれば治る時は治るくらいの気持ちでいてあげてください。男性膣不感症は性交ができないわけでもなくセックスレスでもなくEDでもないのですから、性交ができるだけまだ幸せだと思うようにしましょう。(幸せとはいつも相対的なことなのです)

最後にエピソードを一つ

ある本で、香港のナイトクラブのショーの話を読んだのですが、それは舞台に立った一人の男が服を脱いでいき、裸になり、手をまったく触れることなく勃起させ、しばらくして射精まで行うという内容のものでした。そんなことが出来るのかと驚きました、これは男なら誰でも驚く話です。つまり頭の中のイメージだけでそれができるということです。